タイトルの話の前に、まずは今回の入荷案内を↓
ハヤカワ文庫JAを14点!
1980年代~2000年代まで新旧いろいろでございます。
短編集が多めになってますので、ひとつよろしくお願いします。
さて、本題です。
公開から1ヵ月近く経ちましたので、もうそろそろネタバレだの気を遣わなくても大丈夫でしょう。
とはいえ……
ここから「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の感想になります。
内容に触れずに書くのは困難なので、ネタバレなど気にされる方はご注意ください。
さあ、お約束の警告もしましたよ!w
シン・エヴァンゲリオン劇場版(長いので以下、シン劇)観ました!
もうすでに各所でいろんな感想、評論、考察が溢れていると思いますが、ここでは文系SFファンの視点での感じたあれこれを書き散らかしておこうかと思います。
1)新設定(?)「エヴァンゲリオンはループしている」
シン劇で導入された(若しくは明確にされた)大きな柱に「エヴァンゲリオンという物語は何周もループしている」があります。
エヴァの世界は一つの物語であって、劇中の人物はそのストーリーを何回も何回も繰り返して試行しているのだという設定です。
小説でいえばボルヘス「円環の廃墟」やディック「時間飛行士へのささやかな贈り物」
映画では「恋はデジャ・ヴ」が代表的なところですが
最近の人なら「魔法少女まどか☆マギカ」や「エンドレスエイト」といった方が話が早いかもしれません。
私はそうきたか!と思うと同時に、そうするしかないよなという気分にもなりました。
庵野秀明はこれまで何回もエヴァンゲリオンを終わらせようとしています。
で、そのたびに失敗してます。皆さんご存じのとおり。
それらの失敗を全部引き受けて、なおかつ出口に導くには、この設定以外の方法はあり得ないからです。
つまり、TV版、旧劇場版そして新劇場版、さらにいえばゲーム「鋼鉄のガールフレンド」やオルタナストーリーの「ANIMA」も、実在した「何周目かのエヴァンゲリオン」ということです。
「さらば、全てのエヴァンゲリオン」というのは、そういうことです。
さらにいうと、冒頭のパリ対決のシーンは「ふしぎの海のナディア」を連想するし
エンディング実写パートの山口県宇部は「式日」の舞台という具合に
庵野のフィルモグラフィーそのものの総括でもあるのかなという気もします。
気づきませんでしたが、探せば「ラブ&ポップ」などを連想する部分もあるかもしれません。
2)真希波・マリ・イラストリアスの謎
エヴァ搭乗者として設計されず、そもそも14歳でないことが明らかになったマリですが
歳を取らないのはエヴァの呪い(そういうものだと思え!)だとして、そもそもどうしてエヴァに乗れたのかは疑問として残ります。
エヴァがループしているという設定に則れば、これも今回の周回でユイの後にエントリー実験を行った最初期の被検体だったとでも考えると理屈はたちますが……。
観た方はお分かりのように、今回のシン劇ではマリの存在はかなり重要です。
ラストにシンジの側にいるのが母親or姉妹のレイではなく、初恋のアスカでもなく、成長の過程で出会ったマリだというのは作品のテーマと相まってとても説得力があります。
だれかが(Twitterだったかな?)で「最後に主人公=庵野の側にいたのは、マリ=安野モヨコだった」てなことを言ってましたが、スゴく腑に落ちましたね。
3)渚カヲルの謎
終盤、渚司令なる立場で出てきますが、あれはなんだったんでしょう?
前述の設定を鑑みると、ゲンドウが早々に退場した後にNERVの司令についた何周目かの姿だということかもしれません。
また、ちと飛躍すると、あのカヲルはゲンドウだったのだという考え方もあります。
旧劇版で、ゲンドウがアダムを手のひらに取り込んでいたことを思い出してください。
ゲンドウに取り込まれたアダムが逆にゲンドウを侵蝕して使途=カヲルになったのかもしれません。
これだと、自分をゲンドウに渡した加持をリョウちゃんと親しげに呼ぶのも分かりますし
なによりラストシーンでレイ(要はユイ)とカヲル(つまりゲンドウ)が一緒にいることの説明もつきます。
とはいえ、これも私なりの一つの解釈なので
ホントのところは分からないし、分からないでいいんです。
そういう隙を意図的にたくさん残しているのが私たちの知ってるエヴァンゲリオンだし、それこそが25年もオタクを惹き付けている要因なので。
このほか、もちろんサービスサービスぅ!な部分も満載で
ヴンダー戦がいちいちNノーチラス(つかヤマト)みたいだとか
最終決戦の同型艦との闘いは沈黙の艦隊だな!とか
一番良いところでさよならジュピターなのかよ!とか
実は情報量が多くて映画的に見どころあるコミューンのシーンとか
やっぱり肉は喰わないんだな!w とかとか
いろいろいろいろあるんですが、まぁそこら辺のオタクヨタ話は言い出したらキリがないので、友達とリモート飲み会とかで存分に語り合ってくださいw
ちなみに一緒に観た友人と共通の感想は
シン三部作(勝手に呼んでいる)の三作目、シン・ウルトラマンも期待できるな!
でした。
自分の中で大きな宿題にケリをつけた庵野秀明が、次に何を見せてくれるのか
そういう興味を抱かせてくれるのが、今回のシン劇でありました。
でなきゃ「幕末太陽傳」のシナリオ版よろしく、空撮で物語の外に解放していくラストになってる意味がないじゃないですか。