あくまでも自分をいったんクールダウンさせるためのシン・ゴジラ評(ネタバレ含む)

さて、金曜日の晩以来、ずーっとシン・ゴジラについて考え続けています。

このままではどうにも落ち着かない。そもそも仕事に差し支える!

というわけで、以下、現時点での感想を残しておこうと思います。

若干、文章の調子も堅くなりますが、ご興味のある方はご一読を。


シン・ゴジラ

以下、現時点での感想をメモ形式で。

【シナリオ】

物語は簡潔。今日の映画としては異例なシンプルさである。

首都圏に未知の巨大生物“ゴジラ”が出現し、政治家、官僚と中心とした行政チーム、自衛隊が死力を尽くしてこれを撃退する。

これだけ。本当にこれ以外の物語は描かれない。

この作品にサブプロットは存在しないのである。

故に、我々観客はものすごいテンポで「巨大不明生物」撃退作戦の一部始終に付き合わされることになる。

基本的には会話劇であるこの作品、このシンプルに過ぎるシナリオが、超高速で流れていくテキスト(台詞、テロップとも)と組み合わさって、一瞬たりとも弛緩することなく物語を牽引していくことに成功している。

【キャスト】

この作品は群衆劇である。いや群衆劇というよりは組織劇とでもいうべきか。

何人ものキャラクターが次々と現れるこの劇中にあって、主役の2人(竹野内豊と長谷川博己)には、群衆の中でも埋もれない華がある。

そして、石原さとみ、市川実日子、高橋一生らの準主役陣にはカリカチュアライズされたキャラクターを担わせることで、ストーリーのリアリティラインを“完全生物である怪獣が存在する世界”という、とんでもない大嘘が許容できるレベルにまで落ち着かせている。

またその一方で、國村隼や柄本明といったベテラン勢が、抑えた演技で物語にリアリティを付与することで、シミュレーションムービー若しくはポリティカルサスペンスの部分をしっかりと構築している。

シン・ゴジラが優れているのは、このリアリティラインのバランス感覚である。

筆者は「一つ大きな嘘をついたら他の部分は可能な限り真実で固めなくてはいけない」というのがフィクションにおける最重要ルールだと考えているのだが、シン・ゴジラはこの部分が実に巧妙に構築されている。

【描写のリアリティ】

元地方公務員の筆者の知る範囲で、公務員の所作(会議中の幹部へのメモ入れ、直接の担当がドッチファイルを抱えて上司と早足で廊下を歩くところ、法解釈議論等々)は、相当に調べて作り込んでいるなと感じた。

また、CS放送や市販メディア等で観る限り、自衛隊装備の運用(火器の射程を考慮した配置、着弾時に空自パイロットが「コンプリート」と報告する等)もかなり正確に描写されているのではないだろうか。

先ほどリアリティラインについて触れたが、シン・ゴジラは上記のような細部描写を丁寧に積み重ねることで、荒唐無稽に陥りかねない怪獣物語のリアリティを、我々が生活と地続きなものと思わせることに成功している。

そして、それが故に人知を完全に超越した力(全身から光線(熱線?)を放出する怪獣)へ無力感、絶望感は決定的なものとして、我々観客の胸に真の恐怖を伴って迫ってくるのである。

【音】

会議をはじめとする閣僚の会話シーンにおいて、この作品では音楽はほぼ流れない。我々の耳に届くのは環境音やSEのみである。

一方、それ以外のシーンでは非常に印象的な劇伴が使用されている。

ゴジラが登場するシーン、そして最終決戦シーンでは、伊福部昭作曲の過去作の劇伴。

巨災対のミーティングシーンでは「新世紀エヴァンゲリオン」の有名なBGM“Decisive Battle”

首都が焦土と化す、本作のクライマックスともいえる黙示的なシーンでは、鷺巣詩郎のオリジナルスコアが用意されている。

正直、これら劇伴の使い方の全てが成功しているとは言いがたいのだが、劇伴のオンオフもまた、シン・ゴジラの娯楽映画としてのリアリティライン構築に大きな役割を担っている。

【テーマ】

SNS等でこの作品にメッセージや社会的なテーマを見いだしている方も散見されるが、個人的にはそこまで強いものは感じなかった。

ただ、架空の物語は意識的にせよ無意識にせよ現実社会を照射するものであり、シン・ゴジラにもそのような側面があるのは間違いないところだろう。

個人的に受け取ったメタファーは、首都の中心に屹立するゴジラは、日本がこの先共存していかざるを得ない、もはや排除が不可能に近い存在の象徴であろうということだ。

ただそれはあくまで個人レベルで感じたことであって、そこに作り手の押しつけはない。

これは娯楽映画なのである。作り手はあくまでそのワクを踏み出したりはしていない。

【総括】

ゴジラやウルトラに代表される特撮、マジンガーZ以降のアニメーション、テレビで毎日のように放送されていた洋画や邦画を、ワタシは子供の頃から浴びるように観てきた。

そんなワタシの感想は、煎じ詰めれば次の言葉に集約される。

「これが観たかった!」

これに尽きる。

少年期からいままで観てきたもののエッセンス。その一種が本作である。

だからこそ、筆者はここまで(いい歳の大人としてはいかがかというレベルで)熱狂しているのである。

【おまけ】

鑑賞時に参考になると思われる映像コンテンツ

「新世紀エヴァンゲリオン」
◎これをどの年齢で観ているかで、作品に対する印象は大きく変わるのではないか。

「ガメラ(金子修介監督の俗にいう「平成ガメラ三部作」)」
◎怪獣が現れたら日本はどのように対応するのか?を現代の視点で真面目に描いた先達

「日本の一番長い日(岡本喜八版、原田眞人版は未見)」
◎多くの人が類似を指摘している。
学生時代に観てぼんやりしか覚えてなかったが、先日BSで放映していたのを見直したら細かいカット割り、テロップの多用、前半会議劇で後半タイムサスペンスアクションとなる構成など、なるほど類似点が多かった。

「太陽を盗んだ男」
◎ラストの科学技術館からの連想だが、疑似イベントを中心に据えた作品という共通項で並べてみると興味深いと思う。

「還ってきたウルトラマン(DAICON FILM版)」
◎鑑賞後の率直な印象は「DAICON FILMの到達点」だった。

 


はぁ少し落ち着きましたw

さて、それでは最後に、本ブログのメインの話題であるお店の話をしとかないといけません。

というのも、今回「シン・ゴジラショック」で商品のアップが滞っておりますw

が、下準備は終えておりますので、明日明後日には新たに100点程度をアップできる見込みです。

今回は香山滋『小説ゴジラ』(奇想天外社刊)もラインアップに入っております。

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シン・ゴジラを観に行くのだ(“not復”習編)

さて、行ってまいりましたよ!

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このゴジラのお膝元でゴジラを鑑賞w

と、ここまではいいのです。余裕があったのです。

さて現在……

ワタクシ、完全に冷静を失っています。

この後、2日間で観ること3回

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初回の鑑賞からこっち、ずーっとシン・ゴジラのことを考えていますw

自分を落ち着かせるためにも、できるだけ早くちゃんと感想を書くつもりですが……

パシフィック・リム以来の冷静失いっぷりですなこりゃ。

シン・ゴジラを観に行くのだ(予習編)

ということで、本日公開の「シン・ゴジラ」

空想書籍が好きなワタクシは空想コンテンツ全体が好き、しかも庵野秀明&樋口真嗣となれば、こりゃ張り切って行かなきゃならん!行ってきますよ!公開日に!(夜の回ですがw)

で、張り切って観に行く前に、いろいろと復習しようじゃないか!

てことで、昨晩から手持ちの過去コンテンツ&日本映画専門CHでやってた庵野秀明特集を観まくっております!

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まずはかのDAICON FILMの2作品

「八岐大蛇の逆襲」は樋口真嗣が特技監督(監督は赤井“プリメ”孝美)

「帰ってきたウルトラマン」は監督が庵野秀明(特技監督は赤井“ラフィール”孝美)

八岐大蛇の特撮もどうかしてて(褒め言葉)スゴイのですが、帰りマンの出来はホントにすごい!

これアマチュアでやられたら、そりゃ周りの奴らは自信なくすよw

「アオイホノオ」でも島本和彦が描いてたけど、効果音なのよ、音なのよ。

あと編集。モンタージュがホントに上手い(庵野と赤井どっちの手腕かはワカランのだけど)

この辺は「シン・ゴジラ」のオリジンともいえそうなので、見直す価値はありましたね。

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で、こちらはご存じ大傑作の平成ガメラ三部作。

何回も観てるので内容はもうひとまずおいて、今回は樋口真嗣の名前を一躍高めた特撮シーンを中心にチェック(実はいまも観てますw)

イヤー、これはね、いま観てもスゴイですよ。

かの有名な「東京タワーにたたずむギャオス」にはちょっと泣きそうになります。

樋口真嗣は特撮ならやっぱり日本一ですよw

もちろん、金子修介の手堅い演出と組み合わさってるからこその効果なので、このあたりが、盟友たる庵野秀明と組んでどうなるのかというところ。

さらに、日本映画専門チャンネルをチェック

http://www.nihon-eiga.com/osusume/godzilla2016/24marugoto/

夜中までかかって、「巨神兵東京に現る」「式日」「ラブ&ポップ」「キューティーハニー」「流星課長」をまとめて鑑賞。我ながら熱心ですなw

このうち初見は「式日」と「流星課長」

まとめて観たおかげで、庵野監督の演出のクセもわかった気がします。

詳しくは鑑賞後に書こうと思いますが、一つ。

庵野秀明って風呂敷たたもうとすると一気に失速するのねw

エヴァやカレカノがああなったのも、まぁむべなるかなという気がしますw

とまれ、今晩観る「シン・ゴジラ」は果たしてどうなるのか!?

 

 

単行本追加してオープン!

オープン前に単行本(四六判)を追加しました!

文庫本だけだとさすがに寂しいのでねw

今回、ジャンル小説以外にもイタロ・カルヴィーノやミロラド・パヴィチなどもラインナップに加えました。

こういう書籍も“空想書籍”となれば積極的に並べていきますよ!

判断基準は店主(要はワタシ)の趣味!

てことで、そんな店主の趣味でやってくつもりのお店“空想書籍専門店 Soulgear”は明日(7月19日)オープンです!
http://soulgear.jp