ソフト発売記念!「ブレードランナー2049」考察 最終回

「ブレードランナー2049」アカデミー撮影賞&視覚効果賞受賞おめでとうございます!

とはいえ、後述しますがこれについてはちと言いたいことがあるのです(撮影賞はオスカーでたまにある「そろそろ○○にあげなきゃ」点も加わっての受賞(ロジャー・ディーキンス)だと思うし)

とまれ、このダラダラと続いたメモみたいなブログ、最終回はドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作として見た場合の位置づけなどを考えてみようかと。

ドゥニ・ヴィルヌーヴは、「灼熱の魂」以降はひととおり観ているお気に入りの監督なのです。

 

5)ドゥニ・ヴィルヌーヴ作品としての「ブレードランナー2049」

探求の物語

「灼熱の魂」が母親の過去を、「複製された男」がもう一人の自分を、「メッセージ」が未知の言語を探る物語だったように、ヴィルヌーヴ作品は常に探求の物語です。

主人公のKが自らの出自を探る「ブレードランナー2049」は、その意味でドゥニ・ヴィルヌーヴ作品の典型ともいえます。

また、ドゥニ・ヴィルヌーヴ作品では、例えば「ボーダーライン」でのトンネルや「メッセージ」での宇宙船の通路のように、謎の核心に迫るために通路(洞窟、隘路)を通るという演出が特徴ですが、「ブレードランナー2049」においても、謎のキーとなる木馬を発見するシーンでこの演出が効果的に使用されています。

さらに、「灼熱の魂」や「ボーダーライン」が典型ですが、探究の末に別の謎に突き当たる、若しくはより一段深い謎を探らざるを得なくなるというシチュエーションも、ドゥニ・ヴィルヌーヴ作品では頻出します。

「ブレードランナー2049」で、レプリカントの子供を捜す→Kが自らの出生を探るという具合に謎の様相が変化していくのは、実にドゥニ・ヴィルヌーヴらしい展開だといえるでしょう。

また、今作の結末についての考察は前述しましたが、結末において謎が完全に解明されず、曖昧なまま観客に解釈を投げ出すというのもよく見られる作風で、「複製された男」や「ボーダーライン」を彷彿とさせます。

 

家族の物語

「灼熱の魂」や「プリズナーズ」が典型的ですが、ドゥニ・ヴィルヌーヴ作品では家族の関係性を物語の中心に据えた作品が多くあります。

前作で「メッセージ」を選んだのもむべなるかなというところですが、「ブレードランナー2049」において、この部分はひねった形で描かれています。

Kが自らの出自を探る物語は、そのまま孤独であった彼が肉親(デッカード)を捜す物語となります。

デッカードと出会った後に、それまで彼を支えていたジョイが消滅してしまうというのは実に象徴的な展開です(ジョイが電子的な幻影である点にも留意)

 

センスオブワンダーが足りない?

「メッセージ」「ブレードランナー2049」と、2作連続でSF作品を手がけたドゥニ・ヴィルヌーヴ。

世間的には高評価で、私も映画作品としては高く評価している(だからこそ長文の感想なんか書きなぐっている)のですが、ことサイエンスフィクションの映像化という視点から見た場合、どうしてもその評価は下がってしまいます。

この人、もしかしたらSFに向いてないんじゃないかな? とさえ思えてしまうのです。

具体的に指摘するのは難しいのですが、どうも、脅威を目にしたときのプリミティブな感動のようなものが足りないのではないかという気がします。

我々がSF映画を見てそのビジュアルに興奮するのは、そこに描かれているものに未知の脅威が包含されているからですが、「メッセージ」そして「ブレードランナー2049」にはそういった要素をほとんど感じなかったのです。

比較するものではありませんが、「ブレードランナー」のリドリー・スコットは、冒頭のロサンジェルスの空撮一発で、観客に未来のビジョンを強烈に植え付けることに成功していました(もちろん、デザイナーのシド・ミードや特撮監督のダグラス・トランブルの力もあってのことですが)

このような、未知なるものを私たちに与えてくれる映像体験といったものが、残念ながらドゥニ・ヴィルヌーヴからは感じられないのです。

 

「メッセージ」公開当時、原作を読みきれていないのではないかという指摘を書きました

もちろん、それが上記のビジュアル面に直結しているわけではありませんが、そういった部分に、作り手のセンスオブワンダー(俗っぽくSF魂と言い換えてもいい)が現れるのではないでしょうか?

 

とはいえ、ご本人はSFが好きらしく、次回作はフランク・ハーバートの『デューン 砂の惑星』だそうです。

デヴィッド・リンチが苦労して、アレハンドロ・ホドロフスキーが頓挫した難物。2作連続の興行的成功と作品への高評価で実現した企画だと思いますが、果たしてどうなるか?

映画作家としてはもはや揺るぎない評価を得ていますが、“SF”映画作家としての評価が決まるのは次作でしょう。

 

 

というわけで、思うところはあらかた吐き出しました!

これで心置きなく「シェイプ・オブ・ウォーター」を観に行けるw

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